2007/02/15

教科書には載らない1chの歴史

教科書には載らない1chの歴史 - ちゆ18歳

ちゆが18歳になってて、こっちのほうが萌える、というのは置いておいて、読み終えてすごく切ない気持ちになった。特にあめぞう氏のくだり。

丁度リアルタイムに立ち上げを見ていて、「あー、やっぱり駄目だったな」と一ヶ月立たずにヲッチにすら飽き、たまにニュースサイトにネタが載っているのを見たり、ふと思いだしてhttp://1ch.tvとアドレスを打ち、一番上の板の一番上のスレの日付が数年前なのを見て笑った。

http://d.hatena.ne.jp/kudzu/searchdiary?word=1ch

ちゆ18歳(すぐ元の年齢に戻るらしいけど)で何度も出て来た「人にやさしい」という世界観は、今ネットのサービスを見てみるとSNSで割と実現されている。ビジネスとして成り立っているし。
ただ、ちゆ18歳では書かれていないが、俺の記憶が確かならば、西氏が本来目指していた1ch.tvの姿は「誹謗中傷の無い掲示板」≒「SNS的なれ合い」ではなく、「有用な情報の密度が高いサイト」であったと思う。今さっくり調べてみたけど

基本方針

情報の価値
玉石入り混じった情報で溢れかえるウェブ上では、自分にとって的確で有用な情報を発掘することは至難である。またほとんどが無償でもたらされてお り、いかなる有効な情報に対しても提供者が必ずしも適正な報酬を得られているわけではない。1ch.tvではマイクロペイメントを導入することにより、誰 もが自らの有する情報を必要とする人々に発表し、情報を資産として活かせる場を実現するとしている。
悪意の排除
広く一般に開放された掲示板コミュニティは、常に匿名による悪意の侵入を許してしまう危険をはらんでいる。多くのコミュニティでは利用者の良識に 任せた自由な方針を立てているが、1ch.tvではより厳格な規則と真摯な対応をもって秩序ある掲示板の実現に努めるとしている。
積極的反2ちゃんねるの明示
一般的なウェブサイトは世間体に配慮して、公の場においては2ちゃんねるについて可能な範囲で関わらないよう消極的に避けるにとどめる。 1ch.tvはそれらの慣例とは一線を画し、2ちゃんねるを積極的に否定する姿勢を表明した上で様々な行動を起こしている。特に1ch.tv内のNet犯 撲滅運動掲示板では、規則で2ちゃんねるについて議論の余地を与えないことで前述の姿勢を一貫するための一定の秩序を保っている。
西氏がこの通り思ってたかはわからないけど、最初の二つに関しては似たようなものを見た気がする。探すの面倒だから調べない。まぁ、ともかく、1ch.tvは価値のある情報が集まる場所を目指しており、マイクロペイメントの仕組みを作ってその微量な手数料で薄く広くうはうは!ってのが目的だったのかね?
という前提において、ビジネス的に成り立たせるために、重要だったのは
  • 価値のある情報が集まる
  • ノイズ(荒らし、誹謗中傷)を減らす
だと思うんだけど、まず最初の失敗は2chを中心としてバイラル的に広がった上、2chにそっくりなフロート式掲示板だったってことだよな。なんというか、2chに新しく板が増えたよ!くらいのノリにしか見えない。
2chがノイズだらけでうんこ、って言いながら2chそっくりなもの作っても「僕の1chも閉鎖されそうです」とか書かれるだけだろ。あれで「生産的な議論をしてください」とか言われても無理だろ。マジで。だって俺も1chで「うんこ」とか書いたし。

じゃあ価値のある情報をノイズを少なくして集めるにはどうすればいいのか?って今世の中で一番近いのが何かと言われると多分wikipediaかSBSだと思う。なんつーか、フォークソノミー系。特にwikipediaは相当情報が整理された形で掲載されてるし、大分便利だ。

じゃあなんでwikipediaは成功して1ch.tvは失敗したのか、っていうと別にwikipediaと比べる必要も無く、ちゆ18歳の記事を見て「素晴らしいサービスだ!」と思った奴は少し何かがおかしいと思うので、部屋の隅っこでオカリナとか吹いてるといいと思う。そのくらい挙げてるとキリがない。

色々と思い出してみると、西氏はwikipediaみたいなのをやりたかったんじゃないかな、と思う。それに加えてSNS的な割とクリーンな感じで議論ができる場かな。加えてそれをちゃんと営利目的でやるということで、情報の中立性を保つために広告ではなくマイクロペメントを選んだのかな、とかちょっと思った。

1ch.tvオープン当時は「1ch.tv?馬鹿じゃねぇの?」と思っていたわけだが、今2chとは別に、SNSやwikipediaのようなサービスが交流/情報の蓄積の場として機能している。西氏がとったアプローチ(掲示板)はいまいちだったし、運営陣はこれ以上なく最悪だったけど、目指してた世界観は決して悪く無かったし、現状を見ていると非現実的じゃなかったのかな、と思った。結果論だけど。と思いついたまま適当に色々書いてみた。終わり。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

MSXで育った人間としては西さんに足を向けて寝られないのですが、西さんのWikipedia騒動のようなのを見るとジェネレーションギャップとかやっぱあるのかな、とも思います。
ゲーム機や家電でも昔からから発売前に「こりゃ売れないだろ」と思われててやっぱり売れないのってありますよね。ソニーのここ数年の迷走ぶりとかもそうですが。

情報が玉石混合で傾きや恣意的なものがあるのは現実世界も一緒なので、判断力を鍛えたいと思っています。
(Wikipediaはジャンルに偏りがあるし、なによりネット上の情報はコンピュータを扱う能力がある人が発信している、というバイアスがありますよね)
あとは小額でも有料になれば多少の精度は上がるのかなあ。
サービスに対価を払う文化は育って欲しいなあ。

匿名もいいんですが発言に責任を持つハンドルの文化も復活して欲しいかも。
ネット上がセクシャルな意味でない優良出会い系になりますように。

と、思いついたまま書いてしまいました。すみません。
(そういう意味ではBlogでのトラックバック/コメントはスパムが無ければ結構有用だと思います)

kudzu さんのコメント...

wikipedia騒動は本人がちょっと自分で書き換えたくらいだと思ってましたが、割と電波ですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88:%E8%A5%BF%E5%92%8C%E5%BD%A6
なんというか、発起人がアレじゃあ運営陣もああなるわなぁ…。むしろ1ch.tvの運営陣をそのまま見ているようで、実はあの運営陣は実は西氏の騙りだったのでは?と思ってしまった。

Wikipediaが有料になるのはないでしょうねぇ。するとしたら閲覧が有料で、掲載が無料(又はお金がもらえる)だと思うんですが、激しく人が集まらなさそうですねぇ。

アメリカに来てジャズのFM局を聴いてたんですが、完全にCM無しで寄付だけで運営していて(その時は寄付集め週間だったのでCMの代わりに大量に寄付してくれコーナーがありましたが)、それで数千万円の寄付が集まっているのは驚きました。国民性の違いなんですかね?なんというか、サービスは無料の日本とサービスは有料のアメリカ、というか。まぁ、どっちがいいとかいう話ではないですが。

と思いついたまま書いてみました。